憧れのペルシャじゅうたん

数年前に所沢の分譲マンションを購入した友人の家には、ペルシャじゅうたんがあります。
ただし、テレビでよく見るような部屋いっぱいに敷くような大きなものではありません。
ちょうど畳1枚と同じくらいのサイズと形のものです。
はじめて友人の家に遊びに行ったとき、リビングにそれが敷かれていたのを見て、「へー、きれいなじゅうたんだな」とほめました。
お世辞でいったのではなく、本当にきれいだったんです。
縞模様になっているんですが、その色使いがすばらしい。
紺、臙脂色、ベージュ色、水色、象牙色、オレンジ、モスグリーンと、こう書き並べるとずいぶんごちゃごちゃしているみたいですが、そんな感じはまったくしません。
色がどれもナマな感じがなく、配置がいいために「にぎやかでしかも落ち着いている」という印象なんです。
「パウル・クレーの抽象画みたい」といいますと、奥さんに喜ばれました。
クレーという画家を知らない友人も、わからないままに気をよくしたようでした。
友人の話によると、彼の奥さんが、昔から「ペルシャじゅうたん」に憧れていて、「マンションを買ったら、絶対ペルシャじゅうたんを敷く」と、決めていたんだそうです。
友人は「そんな高価なものを」と二の足を踏みましたが、詳しい奥さんから「そんな芸術的な高級品じゃなければ、数万円からある」と聞いて、ほっと一安心。
新居を持つのだから、そのくらいの贅沢をしてもバチは当たらないだろう、と彼は思ったそうです。
奥さんは「ギャッベ」にこだわりました。
ギャッベというのは、ふつうのものより毛足が長い、ざっくりした感じのものをいうのだそうです。
たしかに友人宅のじゅうたんは、素人が見ても、「ずいぶん厚みがあるな」と一目でわかります。
値段はいくらだったかは教えてくれません。
奥さんから口止めされているようです。
「数万円」よりはもう少し上だった、ということです。
広いリビングの窓に近い壁際で、直射日光の当たらないところに敷いてあります。
実用品ではなく完全な装飾品として。
そのじゅうたん一枚がリビングの雰囲気を決定づけている、といっていいかもしれません。
その効果、友人夫婦の満足度、来客の気分まで明るくなごませてくれることを考えると、けっして贅沢な買い物ではなかったと思います。
日の光が当たってないのに、じゅうたんからやさしい光が出て、それがじわーっと部屋中に広がってるみたいなんです。
もし、もう少し安いものなら自分でも買いたいくらいです。
うちの狭いリビングでは敷きようがないですけど。
ほんとうは奥さんは猫も買いたかったそうですが、じゅうたんを汚されるのがいやで、猫はあきらめたのだそうで今も大切にカーペットクリーニングをしながら使い続けています。
友人宅へ遊びに行ってそのじゅうたんを見るたびに、奥さんの思いがそこからぱーっと部屋中に広がっている、そんな華やかさを感じます。

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